2つの部品をピンもボルトも無しでどうしたら接合出来るのか?
考えても考えても方法が浮かばない…。
技術担当役員はある休日の外出中、歩いていた時に好きな曲が頭をよぎり、更に10代の頃に取り組んでいたトランペットの事が頭に浮かんだ。
トランペットの抜き差し管は、すごい精度の嵌め合いで
出来ている…。
力の入り方で管は抜けたり、抜けなかったりする。
プロジェクトストーリー
1990年代末頃よりバイク業界では排ガス規制が始まり時代を追う毎に厳しくなってきた。
ロングライフモデルの名車も次々と生産終了を迎えている。
そしてカーボンニュートラルへの対応が日に日に求められるようになっている。
その中でも今後もバイクを通じて多くのライダーに走りと所有の喜びを与えたい。
その為には軽くて、高性能で、コストが抑えられたパーツは欠かせない。
そんな良い物をバイク市場やライダーが欲しがるはず。
とりわけ軽量化が主眼であり部品点数は少ない方が良い。
エンジン車であってもEVであってもブレーキディスクは生き残るパーツ。
当社の主力製品であるブレーキディスク軽量化の構想は始まった。
世の中に無い新しいタイプのブレーキディスクが受け入れられれば
その影響は図り知れない。
そして、新たな部品締結の方法を編み出し、
軽くてスタイリッシュな今までに無い
ブレーキディスクが完成した。
2つの部品をピンもワッシャーも無しで
接合する方法を見付ける事が
成否の鍵である。
社長と技術担当役員で構成部品点数が少ないブレーキディスクを
どうしたら良いかと様々な話しを交わしていた。
社長から「ローターとブラケットを締結しているピンとワッシャーを
無くせないか?」とつぶやいた。
技術担当役員は悩んだ…。
生み出した解決策
2つの部品をピンもボルトも無しでどうしたら接合出来るのか?
考えても考えても方法が浮かばない…。
技術担当役員はある休日の外出中、歩いていた時に好きな曲が頭をよぎり、更に10代の頃に取り組んでいたトランペットの事が頭に浮かんだ。
トランペットの抜き差し管は、すごい精度の嵌め合いで
出来ている…。
力の入り方で管は抜けたり、抜けなかったりする。
これだ!
金属の嵌め合い結合力を利用すれば良いのではないか?とアイディアが閃いた。
社内にプロジェクトチームが結成された。
ただ、今までの開発とは訳が違う。
今までは道が有りその道を進めば辿り着けれるが今回は道が無い。
プロジェクトメンバーに選ばれたメンバーの一人、入社2年目のTも戸惑っていた。バイクが好きでレース活動もしていてバイクに関する経験には自信が有るが業務の能力や経験が浅い自分に務まるのか…。
プロジェクトは進み始めた。
ブレーキディスクのローター端面は垂直であり、
その垂直を当社では機械加工技術で成立させ
プレス技術は隠れ気味である。
一方でプレス技術の世界では材料の端面は斜めになるのがセオリー。
今回は斜めになるプレス加工で嵌め合いを成立させ、ピンもボルトも無くディスクローターとブラケットを締結させることに向かうことにした。
この末にピンもワッシャーも無しでローターとブラケットを締結させることに成功した。
経験の浅い若手メンバーは未知の領域に戸惑いながらも目の前の実験や評価に奮闘した。
そのような中メンバーの1人が、
「自社の開発品であれば性能だけでなくデザインも自由が利くのではないか?」と考えた。
メンバーでは早速デザインについて議論し、ブラケットの色を変えてみた。
仕上がりを見て、「この色は絶対人気出る!」とメンバーで盛り上がった。
開発における苦しさの一方にある楽しさを覚え、
満足のいく製品を送り出したいという思いを胸に抱きプロジェクトは進んだ。
そして、実験や評価をクリアしていき、ようやく客先に提案できる出来栄えに仕上がった。
メンバー全員の開発当初の戸惑いはすっかり消えたのであった。
開発したブレーキディスクは「ミラクルフィットディスク」と命名された。
部品同士が奇跡のようにピタリと合った。
現在各客先に提案中であり採用に向けて力を注いでいる。
若手メンバー達は道の無い所での判断の難しさを知った。
解決は時に「勘」が決め手となることがある。
しかしその勘は知識や経験から宿る物であることも知った。
当社ではアイディアマンと技術者が共存する技術スタッフを目指していく。

自社開発製品であるミラクルフィットディスクをはじめ、電動ゴルフカート用のバッテリーケースや空調機器向け製品において既に当社締結技術が採用され、世の中に出始めています。この技術はあらゆる製品に応用が可能で、これら以外にも急速に新規採用や提案が進んでいます。
ミラクルフィットディスク
バッテリーケース
エアコンパネル